増える「贅沢していないのに借金をする」人。今や貧困は全世代の課題だ
【借金問題】を藤田孝典氏が徹底解説1/3
生活保護以下の年金で暮らす「下流老人」が増えている
トオル…あ! でも、高度経済成長期やバブル時代に稼ぎまくった高齢者はお金もってそうだよね!
藤田…もちろん、その世代の中には裕福な人もいっぱいいるでしょう。ただし、少子高齢化が進んだ結果、現在は年金額そのものも減っています。拙書『下流老人』でも紹介していますが、年金額が生活保護の支給額を下回る人もかなりいます。年金収入が少なければ、十分な貯金がないと厳しい生活を強いられることになります。
シズカ…でも、高齢者の場合、自分の子どもが大人になっているわけだから、ある程度の援助を見込めるんじゃないかしら。
藤田…確かに、子ども世帯と同居していたら、年金や貯金が少なくても比較的やりくりしやすくなります。しかし、今の日本は核家族世帯が当たり前で、高齢者は孤立しがち。年金も含めた月々の「収入」「貯蓄」「頼れる人間」、この3つを持たない高齢者は貧困に陥りやすいのです。
シズカ…ある程度年を重ねると、病気も不安だし、いざという時大変ね…。
トオル…年配になるとあまりお金を使わなくても済みそうなイメージがあったけど、実はそうでもないのかな。
藤田…そうですね。シズカさんが言うように、医療費がかさむこともありますし、子どもが引きこもりで、頼るどころか家計の負担になっている世帯もあります。たとえギリギリ生活できていても、不測の事態が起きた時は、借金せざるをえない環境の高齢者が増えているのです。実際に自己破産などの法的救済を求める高齢者はまた増加傾向を示していますから。
シズカ…借金の問題は全世代にあるということね。